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さて、今回お話しするのは、わたくし「なつ」が23歳の時に出会ったお客様とのエピソードをまじえてお話致します。
そのお客様は40歳くらいで、わりと地味な感じの男性でした。
よく言えば、真面目なタイプなのですが、なんだかとてつもなく暗いんですよ。
最初に会った時は会話も全く弾まないし、正直あんまり楽しそうじゃなかったのを覚えています。
私が、どんなに話題をふってもスルー。(ガーン)
「きっと相性が合わなかったんだろうな…」と半分諦め、もう二度となつのところへは遊びに来ないだろうな、と思っていました。
…が!しかーし!!
1週間後、彼は再び、なつの前に現れました。(汗)
なぜか、本指名を入れてくれたんです。
本当に「なんで?」としか思えませんでした。
そしてまた、先週と同じように暗い顔をしているお客様。
「ドヨーン」という言葉は、きっと彼の為にあるんだ、と、なつは思いました。
それくらい、暗い!
そんなにつまんなそうにするなら、わざわざお金使ってまで来なきゃいいのに!とまで思ってしまいました。
だって、デリヘルって楽しい思いをする為に来るんでしょ…。
しかし、そのお客様は毎週水曜日、わたしと遊ぶためにお店にやってきました。
会うたびに、少しずつですが、彼も自分から話をするようになりましたが、決して笑うことはありませんでした。
わたしが接客したお客様で、これまでに笑わなかったお客様っていなかったので、いつの日からか、わたしは意地になり「このお客様を笑わせるキャンペーン」を勝手に開催するようになったんです。
あ、ちなみに…そんなキャンペーンをやっているお店はありませんのでご安心ください。
あったら行ってみたいけど(笑)
はい。話を戻します。(汗)
このお客様と初めて会ってから1年程経ったある日、彼から衝撃の事実を聞かされます。
「ここに遊びに来るようになる前、付き合ってた彼女が事故で亡くなったんだ。」って。
私はあまりにビックリして、なんて言ってあげればいいのか、どんな顔をすればいいのかもわかりませんでした。
たぶん、固まっていたと思います。
でも、その後すぐに彼が「彼女を忘れる事はできないけど、君と会うようになってから少しずつ前を向けるようになったよ。ありがとう。」と言って、初めてわたしに対して小さな笑顔を見せてくれました。
笑ってくれたのはすごく嬉しかったけど、なんだかとても切ない気持ちになりました。
結局、このお客様はわたしが当時在籍していたお店を辞めるまで、ずっと通ってくれました。
なつが、このお店を辞める日には「会えなくなるのは寂しいけど、どこかで元気でいてくれるだけで、俺も頑張れるから!」と言ってくれたのが、なんだかとっても深い言葉に思えて、ちょっと泣きそうになりました。
本当に、そんな悲しい事ってあるんだなぁ…と、びっくりしたのと同時に、デリヘルに遊びに来るお客様には、みんな色々な気持ちや事情があるんだなぁと、今まで以上にお客様を心から大切に思えるようになりました。
だから、なつもこのお客様にはとっても感謝しています。
[追伸]
なつは、今も元気に頑張ってます。